研究概要 |
平成17年度は(1)老人性難聴患者のDNAサンプルの収集、聴力検査の集計、(2)難聴の原因遺伝子の多型に関する検索、(3)難聴モデルマウスの内耳の遺伝子発現、に関して研究を行った。 (1)老人性難聴患者のDNAサンプルの収集、聴力検査の集計: 老人性難聴患者およびコントロールの聴力検査とDNAサンプルを収集するために、40歳台から70歳台までの108名のボランティアに対し聴力検査とDNAサンプルの収集を行った。その結果、ある一定の割合で高音障害型の感音難聴(老人性難聴患者)が発症していることが明らかとなった。 (2)難聴の原因遺伝子の多型に関する検索: 従来までに報告された難聴の原因遺伝子とくに後天性・進行性の難聴を呈する遺伝子(COL9A3,CDH23)の多型に関して検索を行った。引き続きこれらの多型と老人性難聴との関連性を検討する予定である。 (3)難聴モデルマウスでの検討: 難聴モデルマウス(SAM-P1:senescence accelerate mouse)の内耳に発現する遺伝子を確認された遺伝子に関し、i)DNAマイクロアレイを用いた解析を行い、3種類の遺伝子(thymosin beta 4,brain factor 1,Single minded 2)発現が高くなっていることが明らかになった。ii)thymosin beta 4に関しては定量realtime PCRで発現増加が確認された。引き続きこれらの物質の内耳局在、機能、老化の関連について検討を予定している。
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