研究概要 |
骨髄細胞を用いた嗅組織再生医療へ臨床応用への可能性について検討するため,実地臨床に近い形(点鼻による局所投与)で骨髄細胞が嗅細胞へ分化するか否かの検討を行った.前々年度に施行した硫酸亜鉛投与後に骨髄細胞を鼻腔内投与すると惹起された炎症によりリモデリングに有利な微小環境になり,嗅細胞への分化は観察されなかった。今回はSCIDマウスの正常嗅上皮下にGFPマウス骨髄細胞を局所注入したが,抗GFP免疫染色ではGFP陽性細胞は観察されなかった.マウス嗅上皮は非常に薄いため局所投与の手技が困難であることが考えられた.骨髄細胞を用いた嗅組織再生医療へ臨床応用への可能性について検討するため,実地臨床に近い形(点鼻による局所投与)で骨髄細胞が嗅細胞へ分化するか否かの検討を行った.前々年度に施行した硫酸亜鉛投与後に骨髄細胞を鼻腔内投与すると惹起された炎症によりリモデリングに有利な微小環境になり,嗅細胞への分化は観察されなかった。今回はSCIDマウスの正常嗅上皮下にGFPマウス骨髄細胞を局所注入したが,抗GFP免疫染色ではGFP陽性細胞は観察されなかった.マウス嗅上皮は非常に薄いため局所投与の手技が困難であることが考えられた.このため,骨髄細胞が局所投与によって組織幹細胞への分化を確認する必要があると考えて局所投与しやすい唾液腺を用いて検討した,腺細胞特異的マーカーであるAquaporin5とGFPの2重免疫染色で陽性細胞が観察されたが,再試の結果では偽陽性の可能性があり,骨髄細胞局所投与による組織幹細胞への分化の可能性には慎重な検討が必要と考えられた. 次にG-CSF投与により骨髄由来細胞の嗅上皮への取り込みが上昇するかをメチマゾールによる嗅上皮傷害モデルで検討した。嗅上皮に経鼻的な傷害を与えるのが炎症反応を強めると考えられるため,嗅上皮に選択的に細胞死を引き起こすメチマゾールを一連の手順で作製した免疫寛容マウスの腹腔内に投与して,ドナー骨髄細胞のレシピエントマウス嗅上皮への取り込みとG-CSFが取り込み率を高めるかを検討した。メチマゾールによる嗅上皮傷害およびG-CSF投与によって,嗅上皮への骨髄細胞の取り込みが上昇する傾向が認められた。
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