研究課題/領域番号 |
17390462
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
武田 憲昭 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (30206982)
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研究分担者 |
福井 裕行 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (90112052)
仙波 恵美子 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (00135691)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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キーワード | 空間識異常 / 動揺病 / ヒスタミン / ヒスタミンH1受容体 / 過重力負荷 / 異味症 |
研究概要 |
ラットに対し、過重力負荷装置により2gの過重力を2時間負荷すると、異味症が発症した。異味症はラットにおける嘔吐行動と考えられていることから、2gの過重力の2時間負荷によりラットの動揺病が発症し、空間識異常が引き起こされたと考えられた。 次に2gの過重力の2時間負荷による空間識異常に対するヒスタミンH1受容体拮抗薬、H2受容体拮抗薬の影響を検討した。2gの過重力の2時間負荷によるラットのカオリン摂取は、H1受容体拮抗薬であるmepyramineで有意に抑制されたが、中枢神経系に移行しないH1受容体拮抗薬であるterfenadineおよび中枢神経系へ移行するH2受容体拮抗薬であるzolantidineは影響を与えなかった。この結果から、中枢神経系内のH1受容体を介して過重力負荷による空間識異常が発症していると考えられた。 我々の過去の研究から、過重力負荷により中枢神経系内のヒスタミン神経系が興奮することが明らかになっている。そこで、空間識異常に関係するH1受容体のポストシナプスにおける変化を明らかにする目的で、過重力負荷がH1受容体の遺伝子発現に及ぼす影響を検討した。すなわち、過重力負荷による視床下部のH1受容体mRNAの変化を、real time PCRにより測定した。その結果、2gの過重力の2時間負荷により、視床下部のH1受容体mRNAが有意に増加した。経時変化を検討したとこと、視床下部のH1受容体mRNAは過重力刺激6時間で約1.5倍に増加し、12時間後までにコントロールレベルに戻った。しかし、過重力刺激によるH1受容体mRNAは大脳皮質では認められないこと、両側の内耳を破壊したラットでは過重力負荷による視床下部のH1受容体mRNAの増加が認められないことから、内耳からの過剰な前庭入力は視床下部を含む大脳皮質下で形成され、H1受容体のup-regulationにより増悪し、おそらくは嘔吐中枢が存在する脳幹へ出力するものと考えられた。
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