研究課題/領域番号 |
17390465
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
富田 浩史 東北大学, 先進医工学研究機構, 助教授 (40302088)
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研究分担者 |
玉井 信 東北大学, 先進医工学研究機構, 教授 (90004720)
小柳 光正 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60205531)
菅野 江里子 東北大学, 先進医工学研究機構, 技術補佐員 (70375210)
佐藤 まなみ 東北大学, 先進医工学研究機構, 技術補佐員 (80375211)
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キーワード | 人工網膜 / 網膜変性 / 三次元積層化技術 / ウサギ |
研究概要 |
我々が開発している三次元人工網膜チップは、光センサー、処理回路、刺激要電極が層状の1チップ型である。それぞれは垂直配線で結ばれており、一切ケーブルを必要としない。臨床応用するためには、適切な刺激電流の検討、チップの生体親和性、機能評価、副作用評価などが必要である。本年度は、研究計画に従い、生体適合性素材の検討、と適切な刺激電流、パルスの検討を行った。我々の人工網膜チップは網膜上へのインプラントを想定している。そのために人工網膜チップの刺激電極と神経網膜は直接、接し、刺激電極として用いる電極素材は生体適合性の観点から慎重に選択する必要がある。電極素材の生体適合性を調べるために、プラチナ、チタン、アルミニウム、イリジウムからなる電極を作製し、ラット眼内に移植した。移植後、全身的な変化を調べるために経時的に尾静脈より採血を行い、CRP値の変化を調べた。また2ヶ月の観察の後、眼球を摘出し組織学的に網膜の変化を調べた。移植前のCRP値を1として変化量を調べた結果、若干アルミニウムで上昇が認められたものの有意な変化は認められなかった。組織学的検査では、アルミニウム移植群で視細胞の変性が認められた。また、網膜神経節細胞への直接作用を調べるために、網膜神経節細胞を単離、培養し培養網膜神経節細胞を各金属でコートしたシリコン基盤で覆い、生存率を求めることによって神経節細胞に対する細胞毒性を調べた。いずれの金属を用いた場合も顕著な細胞毒性は認められなかった。一方、神経節細胞の軸策進展に関しては金属間で有意な差が認められ、軸策進展に関して、金属は何らかの影響を与えることが新たに明らかとなった。刺激電流のパルスの検討では、4x4の刺激電極をウサギ網膜上に固定し、様々な電流、パルスで刺激し、脳内誘発電位を測定することにより検討した。その結果、monophasicパルス刺激より、biphasicパルスを用いた刺激方法が刺激の頻度を効率的に反映することが明らかとなった。
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