食道の再生に関する研究:胃壁から細胞成分を機械的、化学的に除去して作成したgastric acellular matrix(GAM)を用いい、食道の再生を試みた。ラットを用いた実験で食道上皮の良好な再生を認めたが、筋層の再生は認められなかった。BrdUを用いた再生機構の解析によるとやはり、上皮の再生は活発であるのに対し、筋層の再生は起こっていないことが判明した。 横隔膜の再生に関する研究:横隔膜ヘルニアの手術において、横隔膜の欠損の範囲が大きい場合、人工布を用いたパッチ閉鎖が行われるが、異物反応が生じるばかりか、体の成長に合わせてパッチが増大しないため、再発や胸郭変形といつた障害を来すことがある。そこで、自己組織による横隔膜再生を図るべく、ラット横隔膜欠損部に、生体内吸収性高分子材料であるPLGLAメッシュに天然高分子コラーゲンをhybridさせたシートを逢着した実験を行った。ヘルニアの再発は見られず、良好な組織の再生が見られたが、筋組織の確認はできなかった。PLGAメッシュのみに比べて、コラーゲンをhybridさせたもので、明らかにより組織の再生が促進されたが、これに骨髄の問葉系幹細胞を播種してもあまり変化は見られなかった。 羊膜上皮のStemnessに関する研究:胎児由来の組織である羊膜には、未分化な細胞が含まれており、幹細胞として利用できる可能性がある。本研究では、ラット羊膜由来細胞の幹細胞としての性質について検討した。(1)RT-PCRによる解析では、未分化細胞マーカーとしてnestin、 Vimentinばかりでなく様々な神経系の細胞マーカーの発現が認められた。(2)神経系への分化誘導培地を用いて分化誘導を試みたところ、未熟神経細胞への分化誘導が確認された。羊膜上皮細胞は神経系幹細胞の有力なCell sourceになりうることが示された。
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