研究課題/領域番号 |
17390478
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
百束 比古 日本医科大学, 大学院医学研究科, 教授 (00165135)
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研究分担者 |
水野 博司 日本医科大学, 医学部, 助教授 (80343606)
小川 令 日本医科大学, 医学部, 講師 (70398866)
小池 幸子 日本医科大学, 医学部, 助手 (90386227)
青木 律 日本医科大学, 医学部, 助教授 (50231775)
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キーワード | 間葉系幹細胞 / 脂肪 / 骨 / 軟骨 / 血管 / 再生医学 / 組織工学 / トランスレーショナルリサーチ |
研究概要 |
平成17年度の研究成果として、大動物(ビーグル犬、ブタ)の皮下脂肪組織中にも小動物やヒト同様の多分化能を有する幹細胞(ASC)が存在するかどうかをin vitroにおいて検証したところ、培養条件を変えることにより、いずれの細胞も脂肪、骨、軟骨に分化することがOil Red O染色(脂肪)、アルカリフォスファターゼ染色(骨)、Alcian Blue染色(軟骨)により確認され、イヌ、ブタにもヒト同様にASCが存在していることを示した。 この結果を踏まえて、まずビーグル犬を用いての骨再生が可能かどうかを検証した。ビーグル犬(6月齢雄)の鼠径部皮下脂肪よりASC精製プロトコールに従ってASCを抽出し培養増殖させた。このとき同時に下顎歯槽骨に直径4mmの骨欠損創を作成しアルジネートを封入させ慢性炎症モデルを作成した。2週間後に再び全身麻酔下で歯槽骨欠損創よりアルジネートを摘出しデブリードマンを行った後、あらかじめ培養増殖させておいた自家ASCを自家多血小板血漿(PRP)とともに注入移植した。コントロール群として無処置群およびPRPのみの群を作成した。移植後4週目および12週目に肉眼的観察、X線所見および組織学的所見を検討した。 その結果、実験群では移植後4週目よりコントロール群と比較し良好な歯槽骨再生が認められ、12週目においても同様の傾向を示していた。X線所見では、実験群では4週目において透過性の減弱が認められた。組織学的にも良好な骨形成を示し、免疫染色においては抗オステオカルシン抗体陽性細胞が多数認められた。 以上よりビーグル犬由来ASCはin vivoにおいて骨再生能を有することが示唆された。 引き続き、関節軟骨欠損モデルによる軟骨再生能および下肢虚血モデルによる血管再生能について検証していく予定である。
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