研究課題/領域番号 |
17390481
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
今井 孝祐 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60091964)
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研究分担者 |
倉田 俊一 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (60140901)
江石 義信 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70151959)
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キーワード | 移植・再生医療 / 細胞・組織 / 生理学 / 虚血再環流傷害 / 肺循環 |
研究概要 |
我々の開発した遊離片側虚血再還流ラット肺標本を用いて、片側肺を虚血に、同時に対側肺の還流を維持しておくと、1時間の片側肺の虚血(虚血中も換気は保たれており組織低酸素によるanoxic injuryではないことが立証されている)は虚血肺に肺水腫をきたすだけでなく、対側健常肺にも透過性亢進をきたし、虚血肺からのTNF-α放出がその原因であることを報告してきた。このモデルでTNF-α converting enzyme inhibitor (TACEI)を作用させると対側肺への影響が75%軽減され(血管内皮/肺胞上皮の透過性亢進の指標として気管支肺胞洗浄液中の蛋白濃度、肺の湿乾重量比を測定し、その分子的機序として炎症性サイトカインmRNAの発現をRT-PCR法にて半定量した)。虚血肺による対側肺の傷害がNADPH oxidaseの活性化によるreactive oxygen species (ROS)の放出による可能性を予測し、Apocynin 10mmol/Lを加えると、対側肺傷害は部分的に軽減された。さらに、TACEI 10 μg/mlと併用すると、対側肺の傷害は完全に阻止され、Apocyninの代わりにSuperoxide Dismutase (SOD) 6000IUを加えても同様の結果を得た。虚血再還流肺はTNF-α, ROSを産生放出して、虚血再環流傷害を起こすのみでなく遠隔臓器傷害を起こすことが証明された。傷害臓器が遠隔臓器を傷害する可能性は推測されてきたが立証困難であった。われわれのモデルは神経系、血球(特に白血球)系の関与が除外されており、炎症性サイトカイン(TNF-α)とROSが遠隔臓器傷害(同一個体から得られた対側健常肺が遠隔臓器の代表)を起こす可能性を明確に立証したものであり、多臓器不全発症の機序解明、薬物の治療・予防効果の検証に貢献するものである。
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