研究概要 |
アメロブラスチンという新しいシーズを新規骨治癒促進薬として用いることができるかどうかを検討する目的で研究を遂行した結果,以下の成果を得た. 1.骨欠損モデルを確立するため,ラットの腓骨をフィッシャーバーで切断し,1.6mm幅の骨折モデルを確立した.同モデルでは,術後12週までの観察でほとんどの症例において自然治癒は認められなかった. 2.骨折モデルを用いてアメロブラスチン合成ペプチドの活性を最大限に引き出す担体をについて,コラーゲンゲル,コラーゲンスポンジ,ヒアルロン酸ゲルについて検討したところ,治癒には差がなかったが,コラーゲンスポンジが最も操作性が良く,対照に比べて治癒も促進した. 3.アメロブラスチンペプチドの適応による骨折の治癒促進作用がin vitroの結果から当初想定していたより小さかったことより,より持続性に同ペプチドを作用させるため徐放性ゼラチン担体を用いたが,炎症が惹起され明らかな治癒促進効果もみられなかった. 4.持続的作用を期待するためアメロブラスチン合成ペプチドをコードするDNA断片を組み込んだプラスミドをコラーゲンスポンジにconjugateして,骨折モデルに適用したところ治癒促進効果がみられたが,プラスミドの濃度などの改良の余地がみられた. なお,アメロブラスチン合成ペプチドによる骨の再生促進作用を,三次元定量的に検討するためにマイクロCTによる解析を行う予定であったが,2次元の解析で十分な結果が得られたので,本年度は実施しなかった.
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