研究課題/領域番号 |
17390491
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
篠田 壽 東北大学, 大学院歯学研究科, 教授 (80014025)
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研究分担者 |
竹山 禎章 東北大学, 大学院歯学研究科, 助手 (00333823)
荘司 佳奈子 東北大学, 病院・助手 (90302158)
島内 英俊 東北大学, 大学院歯学研究科, 教授 (70187425)
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キーワード | 歯周病 / ビスホスホネート / プロスタグランジンE_2 / 骨吸収 / 骨形成 / 破骨細胞 / 骨芽細胞 |
研究概要 |
平成17年度の研究成果にもとづき、チオメチルフェニルチオビスホスホネート(TRK-530)を歯周病治療薬の最有力候補と考え、その薬理学的性質について動物実験と器官培養実験を中心に種々の検討を行った。その結果、以下のような成果を得た。 (1)TRK-530はPGE2産生を抑制するビスホスホネート(BP)の中では、最も強力な骨吸収抑制作用を持つ。 (2)ラットやウサギの歯槽骨に局所投与したTRK-530は、投与部位の骨密度と骨量を著明に上昇させ、その作用は0.001mMから10mM濃度の範囲において用量依存的である。 (3)上記の作用は、単回投与によって1週間以内に明らかとなり、その効果は、少なくとも数週間持続する。 (4)ビスホスホネート系化合物の骨吸収抑制活性はP-C-P結合の炭素原子に付加される側鎖によって大きく異なるが、骨形成形系に対する作用も側鎖の構造によって異なる。骨芽細胞系cell-lineと骨器官培養実験から、N含有BPs(ゾレドロネート、パミドロネート、アレンドロネート、インカドロネート)は高用量でアルカリホスファターゼ活性を低下させるのに対し、エチドロネート、クロドロネート、TRK-530は、ALP活性を用量依存的に上昇させる。 (5)BPs大量投与時の副作用の一つとして報告されている顎骨壊死の発現機構を推察するための実験モデルの一つとして、BP投与後、切歯を抜歯し、抜歯窩の修復過程を観察するという実験系を確立した。この実験系において、ゾレドロネート(ALP活性を抑制し、PGE2産生を促進させる)は、抜歯窩の修復を遅らせるのに対し、TRK-530(ALP活性を上昇させ、PGE2産生を抑制する)はそのような作用を持たず、むしろ修復を促進させることが示された。 以上の結果、多くのBPの中で、TRK-530は、歯周病治療薬としての優れた性質を有することが示唆された。
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