高速高解像力の実験動物用のX線マイクロCTの実用化のための研究を行った。この装置が実用化されることによって、再生医学等で求められている成長発育加齢を伴う同一個体の実験動物を長期間観察可能となり、再生医学において、その安全性を確立するために、実験動物を長期間観察し、移植した細胞が将来癌化あるいは目的としない不要な組織を形成しないかを検証が可能となることが期待されている。 本年度は現有している実験動物用X線CTの試作機に、回転中心とX線焦点の距離を自由に変更できる機構を付加し、拡大率を容易に変更できる機構の開発を行った。この機構はレールの上をスライド式に移動する方式で、スライドテーブルの上にX線管球を取り付けることで、X線管球の焦点の位置を変化させた。また、半導体のX線センサーを使用することでこの解像力を上げた。拡大率を変更した場合でも再校正を不用とする3次元CT用画像再構成プログラムを開発した。これら改良を行い、マウス・ラット・モルモット・ウサギに軽微な麻酔を行い、撮影実験を行った。 結果、撮影時間はわずか17秒で480x480x480の画素の3次元画像データが得られた。解像力は10-133umまで変更が可能となった。倍率変更時の再校正も簡便となった。画像再構成時間は3-5分であった。骨においては、内部の海面骨の骨量の微細な構造を観察することが可能となった。軟組織においては、肺野・肝臓・腎臓・腸・筋肉・および脂肪の観察が可能となった。 今後は高速高解像力の実験動物専用のX線マイクロCTを使用し、骨の発育や、癌の転移様式などの観察を行い、非常に少ない実験動物で効率の良い実験を実施し、再生医学の人体への応用で問題となっている安全性の検証を速やかに実施することが可能になることが期待された。
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