研究課題/領域番号 |
17390507
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
田上 順次 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究所・う蝕制御学, 教授 (50171567)
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研究分担者 |
北迫 勇一 東京医科歯科大学, 助手 (30361702)
二階堂 徹 東京医科歯科大学, 講師 (00251538)
MATIN KHAIRUL 東京医科歯科大学, COE特任講師 (00372433)
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キーワード | caries / pH censer / demineralization / streptococci / white spot lesion / remineralization / buffer capacity / saliva |
研究概要 |
う蝕診断は、問診から始まり、視診、触診、X線診断と続きその診断には時間を要する。また、同じう蝕でも診断者が異なれば診断結果が異なることが報告されている。このように、う蝕を診査する場合、術者の経験的かつ主観的要素が大きく関与し、う蝕(図a)の存在を発見できてもう蝕の性状(活動性)を把握できない可能性が考えられることから、より簡便かつ正確なう蝕診断方法の開発が期待されている。申請者らは、象牙質う蝕における表面pH値を測定することで、健全部とう蝕罹患部との識別が可能となること、また急性および慢性う蝕罹患象牙質における最小pH値に有意な違いがあることに注目し、ここに得られたpH値の特異性についても従来までのX線透過性、う蝕原因細菌分布によるう蝕診断方法と比較検討を試みた。その結果、急性う蝕象牙質における最小pH値とX線透過性に強い関連性を見い出す一方、同部軟化象牙質サンプルにおけるPCR分析から、最小pH環境を形成する上で特異的に発現するStrepococci属細菌の存在について報告してきた。また、臨床応用を目的としたpHセンサーの開発に取り組み、株)堀場製作所との共同開発にて、ISFET(Ion Selective Field Effect Transistor)を用いた小型pHセンサーを試作した。試作小型pHセンサーを用い直接う蝕のpHを測定する方法(ダイレクト)と、他の異なる2種類の方法(イメージング、スライス)を用いう蝕活動性の測定方法を比較した結果、3種の方法はいずれも、非常に近いpH値を示した。特に、直接法によるpH値測定は唾液の作用等により、比較的高い値を示すものと予想されたが、他の2種の測定値と近似した値を示したことから、う蝕処置前のう蝕活動性を調べる上でpHを指標とすることが可能であることが確認でき、小型pHセンサーでの口腔内でのう蝕活動性診断の可能性が確認された。
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