研究課題/領域番号 |
17390507
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
田上 順次 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50171567)
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研究分担者 |
北迫 勇一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (30361702)
二階堂 徹 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (00251538)
マティン カイルール 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科 (00372433)
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キーワード | caries / pH censer / demineralization / streptococci / dentin / PCR |
研究概要 |
被験者20名(平均年齢53.8歳)う蝕象牙質25症例が測定対象とし、試作微小pHセンサーを用い、pH値を指標とした口腔内う蝕活動性評価を試みた。各う蝕は、pH分析に先立ち、急性または慢性う蝕に分類し、どちらにも分類されない症例は亜急性う蝕とした。測定は、被験歯のエナメル質健全部における値を健全pH値とし、続いて象牙質う蝕除去前後のpH値を測定した。また、同時に唾液、プラークおよびう蝕サンプル中のう蝕原因細菌に関して、Real-Time PCR法を用いた定量的遺伝子分析を行い、測定されたpH値環境を形成するう蝕細菌叢について検討を加えた。その結果、急性う蝕では、pH3.8から5.2を、慢性う蝕ではpH5.8から6.3を、亜急性う蝕では全ての症例でpH5.4を示し、t検定において、急性・亜急性症例と慢性症例との間に統計学的有意差を認めた。う蝕除去後の平均pH値は、各症例ともにウィットロカイトの臨界pH値6.4に近接した値を示した。本研究では、全てのpH値測定後、う蝕除去の確認としてう蝕検知液を用いたが、う蝕象牙質内層の象牙細管内にて、ウィットロカイトの結晶析出・沈着が起こることから、これらう蝕除去後のpH値がう蝕象牙質内層を示す可能性が示唆された。以上より、本pHセンサーを用い、患者口腔内にて、う蝕表層pH値を直接測定することで、う蝕活動性診断が可能であることが示唆された。さらに、S.mutansは、う蝕表層pHが3.8から6.3を示す全ての症例で検出されたものの、急性・亜急性症例と慢性症例との間にゲノムDNA比率の定量的な違いを認められず、S.sobrinusは、急性・亜急性症例にて未検出の割合が多く、慢性症例と比較して低い検出率を示した。
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