研究概要 |
妊娠14日目のマウスの羊膜をディスパーゼさらにコラーゲナーゼ酵素消化により分離し、フローサイトメトリーにてCD44およびScal陽性の羊膜幹細胞の分取を行い、Feeder細胞存在下で増幅させた。その幹細胞はPOU/Oct4,SOx2,Tert, Rex1,nanogなどの幹細胞のマーカーを強く発現していた。歯胚において、幹細胞を多く含む画分である歯髄SP細胞からさらに幹細胞を分離することを目的として、SP細胞とnon-SP細胞のmRNA発現の比較を行い、CD31,CD105およびVgfr2などの血管内皮細胞のマーカーがSP細胞に強く発現していることが明らかとなった。したがって、歯髄SP細胞をさらにCD31およびCD146を用いてラベルしたところ、CD31^-; CD146^-SP細胞およびCD31^+; CD146^-SP細胞がほぼ1:1の割合で見られた。よってこれらを分取し、性質を比較したところ、CD31^-; CD146^-SP細胞の血管新生促進効果が顕著にみられた。さらに、羊膜幹細胞と歯髄幹細胞の遺伝子発現の差をレーザーマイクロダイセクションならびに差次的マイクロアレイ法にて検索し、歯髄に発現があるが羊膜には全くみられない2つの遺伝子、TRHDE(Thyrotropin-releasing hormone degrading ectoenzyme)およびLRP1B(low density lipoprotein-related protein 1B)を見い出した。さらに、羊膜幹細胞にある遺伝子を導入後、BMP添加して培養し、象牙芽細胞系譜へのtransdifferentiationをTRHDEならびに象牙芽細胞分化マーカーにて確認を試みた。
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