研究課題
基盤研究(B)
本研究は歯科用有機材料由来の化学物質並び唾液に浸漬したそれら硬化体由来の化学物質を同定・定量する簡便な分析法の開発、マウス胚性幹(ES)細胞から、培養系で気管上皮性の繊毛細胞の分化誘導系の開発、歯科用有機材料によるヒト細胞でのストレスタンパク質(SP)の量、質と局在変化について検討した。その結果、唾液や血清により歯科用モノマーは分解されるが、モノマーによりその分解程度が異なっていた。また、重合開始剤である過酸化ベンゾイルは溶解させる溶媒により分解程度が異なり、メタノールで顕著に分解された。難溶性溶解補助剤であるポリソルベート80(TW80)を唾液に添加し、有機材料硬化体からの溶出量に及ぼす影響を検討したところ、低濃度のTW80では硬化体からの溶出物の量を顕著に増加させた。このことから、TW80を用いて模擬唾液浸漬溶媒系の開発を試みたところ、唾液に相当する溶出量が低濃度のTW80で得られるなどこれらのHPLCを用いた簡便な分析法を確立した。マウスES細胞から、培養系で気管上皮性の繊毛細胞の分化誘導系では気管上皮組織に非常に近い組織の誘導が、マウスES細胞から無血清培養系で可能となった。繊毛細胞は、生体の気管上皮に認められるものと同じく、17-20Hzで運動しており、繊毛特異的なマーカータンパク質であるHFH-4(Foxj-1)の発現が認められた。また、気管特異的タンパク質であるTTF-1やSPCなども発現していることが分かった。この系を用いて、TEGDMAを用いて細胞毒性実験を行ったところ、TD50の値はこれまで報告されているものとほぼ同じであったが、Foxj-1の遺伝子発現に及ぼす影響は、より低い濃度で認められることが分かった。歯科用充填材レジンモノマーで処理された培養ヒト細胞におけるSPの発現変動では、bisphenol A(BPA)によるSPHSP27,HSP72,HSP90α, GRP78,GRP94の量変動を調べたところ、ERα高発現細胞ではBPA(1μM〜10μM)は、受容体を介しSP量を増加させるestrogen様作用を示す一方、ERαを発現していない細胞では、SP発現量減少作用を示した。重合調節剤や重合禁止剤として使用されているフェノール性水酸基含有化合物4種類のうち、4-methoxyphenol(1μM〜10μM)は、ERα高発現細胞においてSP量を最大3.5倍に増加させた。この細胞系におけるSP量変動を指標とし、環境化合物のERα依存的SP量増加作用と細胞毒性(コントロール細胞におけるSP量減少)を調査できることが示唆された。4-methoxyphcnolの女性ホルモン作用に関しては従来報告されていないが、本研究から、estrogen様のSP増加作用を持つことが示唆された。
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