研究課題/領域番号 |
17390517
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
鈴木 一臣 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30050058)
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研究分担者 |
吉田 靖弘 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (90281162)
入江 正郎 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (90105594)
田仲 持郎 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (40171764)
西山 典宏 日本大学, 松戸歯学部, 助教授 (90112953)
峯 篤吏 岡山大学, 医学部歯学部附属病院, 助手 (60379758)
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キーワード | 歯質 / レーザー / 歯冠修復 / コンポジットレジン / 接着 / 被着面処理 / 高分子合成 / 機械性モノマー |
研究概要 |
緒言:う蝕治療時の窩洞形成に使用されているEr:YAGレーザーは、エアータービンやマイクロモーターのように騒音、振動による不快感がなく、また、無麻酔での治療が可能であることから注目されている。しかし、Er:YAGレーザーを照射した歯質被着体とした場合、現行の歯質接着システムにおいてその性能が十分に発現しないこと、さらにはその原因の一つにレーザー照射歯質の脆弱化が報告(本研究分担者、峯篤史ら)されている。そこで、Er:YAGレーザー照射後のエナメル質および象牙質の構造ならびに被着体としての性質を明らかにするとともに、本被着体に対応した新しい接着システムの開発を目的とした。 材料および方法:1)レーザー照射歯質表面の構造解析は、Er:YAGレーザー(アーウィン、モリタ社)をエナメル質には127mJ,10pps×2秒,象牙質には69mJ,10pps×2秒の条件下で照射し、それぞれの試料についてSEM(走査型電子顕微鏡)およびXPS(X線光電子装置)分析した。2)レーザー照射歯質被着面に対する開環重合型接着材の接着強さの測定は、1)と同条件でレーザー照射したエナメル質および象牙質にエポキシ系接着材にて歯科用コンポジットレジン重合体を接着させ、37℃水中浸漬24時間後の引張り接着強さをオートグラフにて測定した。 結果および考察:SEMおよびXPS解析の結果、レーザー照射歯質は最表面から約400μmの深さまで蒸散し、さらにこれ以上の深さの箇所に微少クラックが発生していた。また、XPSのデータから歯質表層のカルシウムとリンの比が異なっていることが判明した。一方、上述したようにレーザーによって歯質被着面にクラックが発生し、この空隙の酸素がラジカル重合型の接着材の硬化に影響をおよぼすのではないかとの推論のもとに試みた開環重合型の接着材は、ラジカル重合型に比べて有意に接着強さが向上した。
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