研究概要 |
インプラント周囲骨はインプラント埋入後にさまざまな構造変化が生じることが明らかとなっている。さらに,インプラントに荷重を負荷した場合には,海綿骨の骨密度の増加や骨接触率の増加などの変化が起こるとの報告もみられる。そこで,インプラント周囲骨の構造変化を放射線学的手法を用いて経時的に観察し,評価を行った。雄性ビーグル成犬数頭の両側下顎小臼歯部を抜歯し3ヵ月の治癒期間の後,左右無歯顎部にインプラントとして,直径3.75mm,長さ7.00mmの機械研磨処理チタンインプラント(Branemark MkIII^<R○>,Nobel Biocare)をそれぞれ計3本埋入し,最遠心に埋入した1本のインプラントを対象としてX線写真撮影を行った。そして,得られたX線写真を画像解析ソフトを用いて解析することで構造パラメータを算出し,構造パラメータの変化を検討した。その結果,いくつかの構造パラメータはインプラント埋入後から変化を示した。このことから,インプラント埋入後に生じる周囲骨の構造変化を放射線学的に観察することでインプラント周囲骨の経時的変化の評価が,組織形態計測学的手法を用いることなく行える可能性が示唆された。現在,インプラントに上部構造を装着し,荷重を負荷している。 今後,上部構造装着によるひずみの計測(デジタルマイクロスコープ:KEYENCE),放射線学的評価,組織学的評価および組織形態計測学的評価を行い,荷重負荷後に生じるインプラント周囲骨の構造変化を明らかにしていく予定である。
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