研究概要 |
根管処置歯における支台築造の一術式であるファイバーポスト併用レジン支台築造は,根管処置歯の残存歯質と歯科接着により一体化を図れる可能性がある.一体化の結果,脱落,歯根破折などの支台築造の臨床的トラブルへの有効な対策となりうる.本研究は保持力と破折強度に関して検討し,ファイバーポスト併用レジン支台築造の臨床ガイドラインの確立を目的とする. 平成17年度は保持力の検討を中心に行い,並行して破折試験の予備的検討を行った. 保持力の検討は,各種接着材によるファイバーポストの引き抜き強さとその引き抜き様相を検索することとした.各種接着条件はコア用コンポジットレジンのシステムで4条件,接着性レジンセメントで2条件,計6条件とし,ヒト下顎前歯の抜去歯84本(各条件n=7)を被着体をした.形成ポスト孔は深さ4mm,機械的清掃法などを同一条件で設定し,各種接着材でポスト孔に接着後,37℃水中に24時間浸漬後,試験に供した条件と,その後接着耐久性を調べる目的でサーマルサイクル負荷試験を行った後,試験に供した条件の2条件で引き抜き試験を行い,ポスト表面の状態を引き抜き様相として分類した. その結果,各種接着材による引き抜き強さに著明な差は認められなかったが,引き抜き様相に有意な差が認められ,接着システムの違いによる接着材とファイバーポストおよび象牙質との接着性の違いが影響を及ぼしていることが分かった. 一方,破折試験として,各種ファイバーポストをコア用コンポジットレジンで植立し,繰返し荷重試験を行った.繰返し荷重試験は,45°方向から100N,0.5Hz,10,000回を設定した. その結果,ファイバーポスト間に有意な差が認められ,ファイバーポストによっては繰返し荷重負荷に対する耐久性が著しく低い製品が確認できた.また,個々の製品の中でも差が認められ,内部構造などが一様でないことが示唆された.
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