研究概要 |
【骨浸潤モデルマウスの作製】 昨年度は,作製した骨浸潤モデルマウスを用いて,5種類(SAS,Ca9-22,HSC-2,HSC-3,HSC-4)の口腔癌細胞株が骨浸潤能を有することが明らかとし,同時に癌細胞からの骨浸潤に対して骨膜がバリアとなることを明らかとした。今年度は,いずれの細胞が,いかなる条件のもとで骨膜上に播種した場合に腫瘍が骨浸潤を示すのかを明らかとするため,(1)LPSによる炎症を引き起こした後での骨膜上への腫瘍播種(2)オステオポンチンノックアウトマウスでの骨膜上への腫瘍播種(3)放射線照射後の骨膜上への腫瘍播種の実験を行った。全ての実験で,いずれの細胞を骨膜上に播種した場合においても骨吸収は確認されなかった。いずれの腫瘍においても骨膜上に播種した際に骨浸潤を示すことはできなかった。 【遺伝子発現プロファイリング】 上記5種類のいずれの口腔癌細胞株も骨浸潤能を有し,また浸潤能に大きな差がないことが明らかとなったため,口腔癌細胞移植部位における骨膜の遺伝子発現プロファイル解析を行った。マウス頭頂部の骨膜よりmRNAの抽出を行った。cDNAマイクロアレイ法により遺伝子発現の解析中である。 【生命倫理・安全対策に関する対策】 当機関内倫理審査委員会において,平成17年6月に当該研究が承認された後,インフォームドコンセントを得られた患者の口腔癌病巣より癌細胞の採取をおこなった。下顎歯肉癌のサンプルがRNA抽出用とマウス接種用として保存されている。なお,患者の個人情報は,匿名化データベースとしてネットワ⊥ク独立型コンピュータに管理されている。
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