研究概要 |
【骨浸潤モデルマウス】昨年度は,骨浸潤モデルマウスを用いて,5種類(SAS,Ca9-22, HSC-2, HSC-3, HSC-4)の口腔癌細胞株を(1)LPSによる炎症を引き起こした後での骨膜上への腫瘍播種(2)オステオポンチンノックアウトマウスでの骨膜上への腫瘍播種(3)放射線照射後の骨膜上への腫瘍播種実験を行ったが,いずれの腫瘍においても骨膜上に播種した際に骨浸潤を示すことはなかった。そのため,液性癌細胞であるB16 melanoma細胞株に着目し,骨膜上への播種を行ったところ,放射線照射後のマウスで骨浸潤を認めた。これまで,癌細胞からの骨浸潤に対して骨膜がバリアとなることを明らかとしたが,放射線照射が骨膜へ与える影響によってバリアが破綻する可能性が示された。さらに経時的に腫瘍の播種を行うことで,照射1週間後に腫瘍を播種した際に最も多くの骨浸潤が認められることが明らかとなった。 【遺伝子発現プロファイリング】骨膜が,放射線照射による影響によって腫瘍に対するバリアとしての機能が破綻する可能性が示されたため,放射線照射部位における骨膜の遺伝子発現プロファイル解析を行うべく,マウス頭頂部の骨膜よりmRNAの抽出を試みたが,現在,マイクロアレイに供すための十分なmRNAは採取できていない。 【生命倫理・安全対策に関する対策】当機関内倫理審査委員会において,平成17年6月に当該研究が承認された後,インフォームドコンセントを得られた患者の口腔癌病巣より癌細胞の採取を引き続きおこなっている。なお,患者の個人情報は,匿名化データベースとしてネットワーク独立型コンピュータに管理されている。
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