研究課題
基盤研究(B)
静脈麻酔薬は、サイトカイン産生を修飾することが知られている。しかし、静脈麻酔薬が炎症反応に対して、どのような作用機序で影響を及ぼしているかについては、ほとんど解明されていない。本研究では、静脈麻酔薬のサイトカイン反応への影響と抗炎症作用について検討し、さらにその作用機序を解明することを目的とした。LPSで刺激されたヒト末梢血単核球のサイトカイン(インターロイキン6)産生への作用に対して、静脈麻酔薬であるミダゾラムの影響について、cyclooxygenase(COX)経路を焦点にして検討を行った。その結果、COXの非特異的拮抗薬であるインドメタシンおよびCOX-2選択的拮抗薬であるNS-398はミダゾラムの作用を抑制したが、COX-1選択的拮抗薬であるSC-560は影響しなかった。さらに、ミダゾラムはプロスタグランジン(プロスタグランジンE2、プロスタグランジンD2、プロスタグランジンF2)の産生には影響を及ぼさなかったが、peroxisome proliferator-activated receptor γ (PPARγ)のアンタゴニストであるGW9662はミダゾラムの作用を抑制した。以上の結果より、ミダゾラムはCOX-2経路のPPARγ付近に作用して、サイトカイン反応に影響を及ぼすことが示唆された。さらに、in vivo実験においてマウス足蹠へのカラゲニン注入による炎症性浮腫に対して、ミダゾラムと別の静脈麻酔薬であるデクスメデトミジンによる効果を評価した結果、両薬物のin vivoでの抗炎症作用が示唆された。
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