研究課題/領域番号 |
17390542
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
福田 仁一 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (00106270)
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研究分担者 |
冨永 和宏 九州歯科大学, 歯学部, 助教授 (40188793)
西原 達次 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (80192251)
辻澤 利行 九州歯科大学, 歯学部, 助手 (60265006)
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キーワード | ソノポレーション / 扁平上皮癌 / アポトーシス / 遺伝子導入 / マイクロバブル |
研究概要 |
近年、さまざまな先天性疾患や、悪性腫瘍を対象に遺伝子治療の研究が進みつつある。我々の研究グループは、マイクロバブルと超音波照射を併用したソノポレーション法を口腔癌治療に応用できないか検討した。今回、in vitroおよびin vivoの実験系でソノポレーション法を用い、ヒト歯肉扁平上皮癌細胞(Ca9-22 cell)内に数種類の物質を導入し、致死活性の発現を調べた。 まず、超音波発振装置(ソニトロン2000)を用い、6-galactosidase発現プラスミドをCa9-22 cellに導入し、導入効率を検討したところ、周波数1.OMHz、超音波強度2.OW/cm^2、DUTY比10%、照射時間20秒で最大の効果が認められ、マイクロバブルを併用することにより導入効率が約250倍増強した。 次に、in vitroの実験系で、Ca9-22 cellにBleomycin (BLM)および細胞毒素関連遺伝子(pVIVO1-cdtB)を導入したところ、強い致死活性の発現が認められた。Flow cytometry、Hoechst染色により細胞の状態を観察したところ、BLMを導入した群ではsub-G1期の細胞数の増加、Annexin-V/PI陽性細胞数の増加が観察された。また、BLMおよびpVIVO1-cdtBを導入した群ではHoechst染色にて細胞死を示す核の断片化が著明に認められた。 さらに、ヌードマウスの背部にCa9-22 ce11を移植して担がんマウスを作製し、同装置を用いて担がんマウスの癌組織にBLMおよびpVIVO1-cdtBを導入し、抗腫瘍効果を検討したところ、BLMおよびpVIVO1-cdtBを導入した群では処置後4週目で明らかな抗腫瘍効果が認められた。また同組織から切片標本を作製しTUNEL染色、caspase-3を認識する抗体による免疫染色を行い、病理組織学的に評価したところ、導入群の腫瘍細胞にTUNEL陽性細胞、caspase-3陽性細胞が認められた。 以上の結果から、ソノポレーション法は口腔癌治療における薬剤・遺伝子デリバリーシステムの1つとして有効であり、安全で治療効果が高い癌治療法としての可能性が示唆された。
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