研究課題/領域番号 |
17390550
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
野田 忠 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00013970)
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研究分担者 |
山田 好秋 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80115089)
田口 洋 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (70179597)
小林 博昭 新潟大学, 医歯学系, 助手 (80262450)
福島 伸一 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (10397151)
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キーワード | 小児 / 摂食 / 咀嚼 / 嚥下 / 嚥下障害 / 一口重量 / 舌咽神経 / 一酸化窒素 |
研究概要 |
小児の摂食嚥下障害への臨床的対応に当たっては、小児期特有の摂食嚥下機能の発達過程を詳細に解明する必要がある。そこで本研究では、以下の3つの研究によって、基礎研究から臨床研究まで幅広い観点から小児の接触嚥下機能を解明することを目的に、生理学的手法による実験を行った。 1.嚥下閾に関与する食品物性および顎口腔機能について 2.嚥下反射誘発に関わる神経機構と神経伝達物質について 3.成長発達に伴う嚥下反射誘発様式の特徴について 本年度は、下記の事項を中心に研究を進め、1冊の図書、2編の研究論文と関係学会で5回の成果発表を行った。 1.嚥下閾に関与する食品物性および顎口腔機能について 普段摂取している食品の一口重量を小児(5歳児と8歳児各10名ずつ)と成人で比較した結果、一口重量は増齢とともに増加し、口腔容積増大との関連性がうかがわれた。一口重量の変動係数は、幼児期では大きく、混合歯列期初期で食品によっては成人とほぼ同程度となる食品もあった。このことから、食品摂取に当たっての一口重量の認知機能は、混合歯列期に入ってから大きく発達変化するものと考えられた。 2.嚥下反射誘発に関わる神経機構と神経伝達物質について ラット舌咽神経咽頭枝の電気刺激によって誘発される嚥下は、一酸化窒素(NO)合成酵素阻害剤であるL-NNAと7-NIの投与後に著しく抑制され、NO産生の前駆物質であるL-arginine投与により抑制からの回復が認められた。さらに、NOの情報伝達機構中の興奮性シナプスでの受容体であるNMDA受容体のアンタゴニスト(MK-801)投与によっても嚥下誘発は抑制され、アゴニスト(NMDA)投与により回復した。これらの知見から、咽頭からの感覚情報による嚥下誘発機構に孤束核内のNMDA-NO経路が介在し、情報伝達に重要な働きをしていることを明らかにした。
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