研究概要 |
平成17年度には常染色体性エナメル質形成不全症(AI)患者の口腔粘膜を綿棒にてスワブし,これより抽出される微量DNAを用いてPCR(polymerase chain reaction)を行った。また,静脈血の採取に応じられる患者に対しては,これを施行し,ゲノムDNAの抽出を行った。これらと遺伝子のエクソンのフランキング領域に特異的なプライマーを用いて,ヒトアメロブラスチン,エナメリン,エナメライシン(マトリックスメタロプロテアーゼ20)遺伝子を増幅した。現在,各々の遺伝子のコード領域とスプライス部位のクローンを作成し,ダイレクトシークエンスを行い,解析中である。しかしながら,エナメル質形成不全症の原因と推測できるような変異は確認されていない。エナメライシン遺伝子に関しては,ヒト以外の哺乳類,爬虫類や両生類の同遺伝子を特定し,その分子進化学的解析を行って得られたデータも用いて,機能領域の遺伝子の保存性を解析し,その突然変異部の予測に役立てている。当該患者の上記の遺伝子の解析はまだ終了していないが,これらが終了次第,カリクレイン4遺伝子のコード領域とスプライス部位の解析に移行する予定である。またはヒトアメロブラスチン,エナメリン,エナメライシンおよびカリクレイン4遺伝子のプロモーター領域の解析に着手したい。また,当初の研究予定にはなかったものの,時間的な余裕があって,患者およびその保護者の協力が得られれば,DLX3遺伝子の解析の開始も考えている。
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