研究概要 |
DNAワクチンは,抗原遺伝子を組み込んだ発現ベクターにより生体内で直接抗原タンパクを発現させ,それによって体液性・細胞性の免疫応答を惹起させる.DNAワクチンは化学的に安定なDNAを免疫に使用するためその保存性や経済性に優れており,免疫に必要な部位のみを遺伝子工学的に作成することが可能で,大量精製も比較的容易であるため多方面で研究が行われている.S.mutansが産生するGTFには、GTFB、GTFC、GTFDの3種があり,これまで非水溶性グルカンの合成活性が最も高いという理由からGTFBが、S.mutansの歯面付着に関わりが深いと考えられ注目されてきた.しかしGTFCはスクロース依存性付着の開始点に位置する酵素であり,DNAワクチンによってこれを抑制することは病原性バイオフィルムの形成抑制につながる. これまでの我々の研究よりGTFのシグナル直下の約350AAの大きさの多型性領域に高い抗原性が存在することが示唆されているので,これを標的部位とした.この領域をPCRにより増幅し、プラスミドベクターpSecTag2Bにそれぞれ連結し、標的抗原遺伝子を含むクローンを作成した.次いでこれらから、「CMVプロモーター+目的遺伝子+BGH poly (A) site」を,それぞれ切り出し、これをコスミドベクターpAFC3にライゲーションし,ファージにパッケージングを行った。このサンプルをE. coli DH10Bに感染させて得られたコロニーからコスミドDNAを抽出し、アデノウイルスゲノムに対して発現カセットが順方向に1個挿入された組換えコスミドDNAを調製した。 現在,このアデノウイルスプロモーターを含むDNAワクチンをマウスに免疫し,抗体価の上昇を追跡中である.
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