研究課題
ヒトおよびマウス歯根膜細胞株の樹立ヒト歯根膜細胞は、当教室ですでに樹立している培養ヒト歯根膜細胞を用いた。また、BALB/cマウスの下顎臼歯の歯根膜組織からout-growthした細胞を、間葉系細胞の増殖を誘導するFGF-2存在下で長期に培養することにより,分化能を維持したマウス歯根膜細胞株を樹立した。同細胞を10mMβ-グリセロリン酸および50μg/mlアスコルビン酸を含む石灰化誘導培地にて長期培養し、アルカリフォスファターゼ(ALPase)活性の測定および、アリザリン染色による石灰化ノジュール形成能について解析した。その結果、ALPase活性の誘導と石灰化ノジュール形成が観察され、同細胞株が高い硬組織形成分化能を有する歯根膜細胞であることが示された。オリゴDNAチップによる遺伝子発現解析ヒト歯根膜細胞を石灰化誘導培地中にて18日間培養した。細胞からのRNAは、はじめの3日間は12時間毎に、以降は、3日毎に抽出した。aRNAサンプルを、ヒトの全遺伝子約3万個搭載のオリゴDNAチップにハイブリダイズし、0日目を対照群としてそれぞれの遺伝子発現変化を経時的に解析した。その結果、ヒト歯根膜細胞を石灰化誘導培地中にて3日間培養することで、0日目と比較し2倍以上の発現変化を認めた遺伝子は、分化誘導を行ってから48時間後より検出されはじめ、培養3日目までの合計では発現上昇を認めた遺伝子が59個、発現減少を認めた遺伝子が41個を数えた。検出された遺伝子の中には以前にも報告したperiostinやPLAP-1といった細胞外基質遺伝子の他にも、その機能が未知のタンパクをコードするものも多く含まれていた。また2倍以上の発現変化を認めた遺伝子の中からいくつかを選んで特異的プライマーを作製し、RT-PCR解析を行うことにより、実際にヒト歯根膜細胞において同上遺伝子が発現していることを確認した。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (1件)
Journal of Dental Research 85(in press)