研究課題
基盤研究(B)
歯根膜幹細胞の分子・遺伝子レベルでの詳細な特徴を解明するために、我々がこれまでに明らかとしてきたin vivo歯根膜組織での恒常性維持機構の分子基盤解析を推し進めた。我々が単離・同定した歯根膜特異的分子PLAP-1に着目し、その分子レベルでの機能解析を行った結果、PLAP-1はBMP-2のアンタゴニストとして、歯根膜組織の病的な石灰化を防ぎ、歯根膜を軟組織として維持することにより歯周組織の恒常性維持を担っていることを明らかとした。さらに、2番目のアプローチとして、硬組織新生を伴う歯周組織再生の分子基盤を解明するために、ヒト歯根膜細胞を硬組織形成分化させた際のすべての遺伝子発現変化を網羅的かつ詳細に解析することによりデータベース化し、それを利用することによって歯根膜細胞分化過程における転写レベルでの調節機構の解明を行った。その結果、歯根膜細胞分化に伴ってその発現が減少する転写調節因子Id1を見い出し、機能解析の結果、Id1が歯根膜細胞の硬組織形成分化を制御している可能性を明らかにした。3番目のアプローチとして、歯周組織再生過程において最も重要である考えられる歯根膜幹細胞の特徴を細胞および分子・遺伝子レベルで解明した。ヒト歯根膜細胞から、Hoechst33342色素の排出能を指標にした幹細胞マーカーを利用してFluorescence-Activated Cell Sorting(FACS)システムにて歯根膜幹細胞を単離した。単離した歯根膜幹細胞における遺伝子発現状況について、ヒト歯根膜遺伝子解析用DNAマイクロアレイ(PerioGen Chip)を用いた綱羅的トランスクリプトーム解析を行い、歯根膜幹細胞の遺伝子発現プロファィルを解明した。その結果、歯根膜幹細胞の遺伝子発現に基づいた分子基盤の一端が明らかとなった。
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