研究課題/領域番号 |
17390562
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
西村 英紀 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (80208222)
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研究分担者 |
前田 博史 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (00274001)
岩本 義博 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (80362979)
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キーワード | 歯周病 / 動脈硬化 / 慢性炎症 / 高コレステロール血症 / Porphyromonas gingivalis / HMG-CoA還元酵素 / 肝細胞 / インターロイキン-6 |
研究概要 |
糖尿病患者は高頻度に虚血性心疾患を発症することが知られている。2型糖尿病患者において歯周病感染が肝臓からのコレステロール合成に及ぼす影響を検討するために、歯周病細菌に対する血清IgG抗体価と血中脂質マーカーとの関連性を検討した。その結果、歯周病菌Porphyromonas gingivalisに対する血清IgG抗体価は血清総コレステロールならびにLDL-コレステロールと有意に相関することを明らかにした。一方、HDL-コレステロールや中性脂肪との関連性は認められなかった。 この関連性を機序の面から検討するため、歯周病菌由来LPSやLPSによって単球系細胞から産生される炎症性サイトカインによって、肝細胞におけるコレステロール合成の律速酵素であるHMG-CoA還元酵素の遺伝子発現が影響を受けるかどうかを検討した。その結果、歯周病菌P.gingivalis由来LPSやE.Coli LPSでHMG-CoA還元酵素の遺伝子発現は影響を受けないものの、これらLPSによって誘導される濃度域のインターロイキン-6(IL-6)によってHMG-CoA還元酵素の遺伝子発現が上昇することを明らかにした。 申請者らの以前の研究から歯周病感染によって炎症マーカーCRPの血中濃度が上昇すること、歯周治療によってCRP値が低下することが明らかとなっている。CRPはIL-6刺激によって肝細胞から産生されることが知られている。すなわち、歯周病感染によって上昇したIL-6が肝臓においてCRP産生を亢進するとともに、コレステロール合成を促進する可能性を示した。また、これにより歯周炎症が動脈硬化進行促進因子となることを明らかにした。
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