研究課題/領域番号 |
17390566
|
研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
竹原 直道 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (00038879)
|
研究分担者 |
安細 敏弘 九州歯科大学, 歯学部, 助教授 (80244789)
粟野 秀慈 九州歯科大学, 歯学部, 講師 (20301442)
吉田 明弘 九州歯科大学, 歯学部, 助手 (20364151)
邵 仁浩 九州歯科大学, 歯学部, 助手 (10285463)
高田 豊 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (40163208)
|
キーワード | 口腔乾燥症 / 舌痛症 / 唾液分泌 / 臨床疫学 / コルチゾル / クロモグラニンA / DHEA |
研究概要 |
近年の高齢化社会や生活習慣病の増加に伴い、口腔疾患の疾病構造が変化しており、口腔乾燥や舌痛などを訴える高齢者が増加している。こうした患者では日常生活の満足度が十分得られず、ストレスの多い生活になる。また、口腔乾燥症や舌痛症は高齢者に多い疾患であることから、加齢に伴うホルモンの変動と関連している可能性も考えられる。そこで、本研究では地域在住の高齢者を対象にストレスおよび加齢に関連したホルモンであるコルチゾル、クロモグラニンAおよびDHEA (Dehydroepiandrosterone)の唾液中レベルの検出を行い、口腔乾燥症および舌痛症との関連を疫学的に検討した。口腔の自覚症状に関する問診の結果から、対象者172名をグループ1:自覚症状なし;グループII:口腔乾燥感のみ;グループIII:複数の訴えあり、の3つのグループに分けた。その結果、年齢、糖尿病治療の有無、喫煙歴、唾液流出量(刺激時)および現在歯数においてグループ問に有意差は認められなかった。一方、口腔乾燥感などの自覚症状を有する者では高血圧症による治療を受けている者が有意に多かった(P=0.003)。各グループにおける唾液中バイオマーカーを比較したところ、DHEA濃度においてグループIIIが最も高く、グループ間に有意差が認められた(ANOVA、 P<0.05)。一方、コルチゾル、クロモグラニンAおよび総タンパク濃度についてはグループ間で有意差は認められなかった。そこで、口腔乾燥感を含む複数の自覚症状の有無を判別する唾液中DHEAのカットオフ値をROC曲線から算出したところ、至適カットオフ値は45〜55pg/mlあたりと考えられた。次に多重ロジスティック回帰分析を用いて、唾液中DHEAのカットオフ値と口腔乾燥感を含む複数の自覚症状との関連を検討した。唾液中DHEA濃度を45pg/m1に設定した場合、口腔乾燥感を含む複数の訴えを有するオッズ比は2.1倍であった(P=0.03)。これらの結果は、エイジング因子とされる唾液中DHEAと口腔乾燥症や舌痛症の重症度との関連性を示しており、口腔乾燥症や舌痛症の病態がホルモンの変動と連動している可能性を示唆している。
|