研究課題
これまで口腔と全身の健康状態との関連については欧米やわが国の研究者を中心に行われてきた。とりわけ歯周病と全身の健康との関連については活発な研究がなされてきたといえる。しかし、その一方で口腔の機能(function)に焦点をあてた研究は少ない。口腔の機能には咀嚼機能をはじめ、摂食嚥下機能、舌の運動機能などが含まれる。本研究の目的は健常な口腔機能を有する高齢者は全身的にも健康であり、病気の発症率が低く、長寿ではないかと仮説をたてた。これまでのところ、以下に示す結果が得られている。調査対象は、福岡県下9市町村(行橋市、築城町、勝山町、豊津町、新吉富町、豊前町、苅田町、戸畑区、宗像市)に在住する1917年生まれの697名(男277名、女420名)とした。80歳の住民697名のうち672名について、山本式咀嚼能率判定表を用いて咀嚼能力の評価を行った。15個の食材のうちいくつ咀嚼可能かで評価した。この咀嚼能力と4年間の死亡との関係を性別、喫煙習慣、血圧、血清データといった様々な交絡因子で補正したコックス比例ハザード回帰モデルを用いて、死亡率のハザード比を算出した。その結果、咀嚼能力が高い者を基準とすると、中くらいの者で1.2倍、咀嚼能力が低い者で2.6倍死亡するリスクが高かった。さらに最も噛みやすい食材(この場合、ご飯、ウナギの蒲焼き、およびマグロの刺身の3種)について解析した場合、それらを全て噛める場合を基準とすると、全て噛めない者では2.7倍死亡するリスクが高いことがわかった。
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http://www.kenkoyobou.net