研究概要 |
ヒト歯肉線維芽細胞(HGF)に対する硫化水素(100ng/ml)の毒性をtrypan blue染色で調べたところ,24,48,72時間インキュベーションではコントロールと差は無く,90%以上の生存率であった.細胞壊死の程度を乳酸脱水素酵素(LDH)の逸脱量の測定により調べたが,これもコントロールに比べ差は無く,細胞壊死は10%未満であった.次にアポトージスの特徴である細胞質中でのDNAのfragmentationを調べた.その結果,72時間インキュベーションで有意に増加し,アポトージスの発生が考えられた.その一方,細胞外ではDNAのfragmentationの増加は認めなかった.さらに,Annexin V + propidium iodide染色してフローサイトメーターにてアポトージスの検討を行った.その結果,72時間インキュベーションのコントロールではアポトージス細胞が4%であったのに対し,硫化水素暴露細胞では12%と増加した(p<0.05).しかしlate apoptosisあるいはnecrosisは両者で差は見られなかった.次にカスパーゼ3活性を検討したところ,72時間インキュベーションでは,コントロールに比べ優位に増加した.DNA損傷の程度をコメット分析にて検討したが,Tail length,%DNA in tailそしてtail momentのいずれも有意に増加した.そこで,硫化水素による,Super Oxide Dismutaseに及ぼす影響も検討したところ著明に活性を阻害した.そこでMito-Sox処理後フローサイトメーターにてミトコンドリア中の酸化ストレスを検出したところ,ミトコンドリアの酸化ストレスは有意に増加していた.
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