研究課題/領域番号 |
17390574
|
研究機関 | 日本赤十字九州国際看護大学 |
研究代表者 |
喜多 悦子 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 教授(学長) (40075130)
|
研究分担者 |
江藤 節代 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 助教授 (70341542)
本田 多美枝 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 講師 (40352348)
上村 朋子 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 講師 (30352347)
青山 温子 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40184056)
|
キーワード | 人間の安全保障 / 看護の役割 / 開発途上国 / 紛争 / カンボジア / 日本赤十字社 |
研究概要 |
「人間の安全保障」は、個々の人間を脅かす卑近な恐怖や欠乏から、人々が自由であることを保障することが人間開発、地域社会さらに国家の開発に重要とする、1990年代に生まれた新しい概念である。しかし、その理念は、1948年の世界人権宣言やわが国の憲法の趣旨とも共通し、基本的人権の保護を謳うものであり、また、紛争など暴力を伴う恐怖がないことだけでなく、人権、良い統治、尊厳、教育とともに保健医療や健康の保障という個々人の生存と日常生活の安定が確保されているという、きわめて卑近な要素を含む基本的条件の保障システム構築ともいえる。 初年度には、「人間の安全保障」の歴史的意義、現状を調査してきた。特に東南アジアで、国家壊滅に瀕する深刻な人道の危機を経験したカンボジアと、著しく過激な紛争を経験しなかったラオスを例に、国の保健体制、人々の健康、子どもの成育状況などを検討し、以下の結果を得た。 (1)「人間の安全保障」では、身体的精神的さらに社会的健康の保持が重要な役割を占めているが、古来、世界で最大多数を占める保健専門家である看護職の関与や役割については、ほとんど考慮されていない。 (2)PHCが主体をしめる途上国では、身体的のみならず精神的さらに社会的な広範な健康における看護師の役割を「人間の安全保障」の観点から検証する必要がある。さらに、 (3)世界的に、看護が「人間の安全保障」において果たしうる役割と責任も検討する必要がある。また、 (4)基礎教育との連携で専門教育のあり方を検討する必要ある。 初年度には、まだ、結論的成果を得ていないが、研究終了時までに、あわせて可能な対策を提言する。第二年度には、わが国、特に日本赤十字社の看護教育の経緯を振り返り、「人間の安全保障」の視点、認識を考証し、今後のわが国の日本の看護教育における「人間の安全保障」の概念の導入の是非および可否を検討する。
|