研究課題/領域番号 |
17390574
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研究機関 | 日本赤十字九州国際看護大学 |
研究代表者 |
喜多 悦子 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 教授 (40075130)
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研究分担者 |
江藤 節代 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 助教授 (70341542)
本田 多美枝 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 助教授 (40352348)
上村 朋子 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 講師 (30352347)
青山 温子 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40184056)
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キーワード | 看護学 / 社会医学 / 看護教育 / 国際保健 / 人間の安全保障 |
研究概要 |
「人間の安全保障(Human Security)」とは、個々人は暴力/紛争のみならず、就業や就職、移動など、身近な不穏や欠乏から護られていなければならないとする概念で、1994年、国連開発計画(UNs Development Programme, UNDP)が提唱したが、1998年、小渕首相が、わが国の国際支援の理念とし、国連に資金提供してその波及を促進するまで、ほとんど注目されていなかった。 一方、近年、人間の安全保障を障害しているのは、国家間戦争ではなく、Complex Humanitarian Emergencyと総称される地域武力紛争や、国際的武力介入後に多発するテロ、格差、さらに新たな感染症などであるが、これらに対して、世界で最大多数を占める看護者役割は明確でない。本研究では、わが国の看護教育における理念研究とあわせて、類似の概念があったかどうかを検討するとともに、近隣諸国における看護教育の中での扱いを調査してきた。 第二年度には、初年度に続き、地域的に宗教対立のあるフィリッピン、タイ、さらに2004年12月に、未曾有の津波災害に襲われたかつての紛争地インドネシアバンダアチェにおいて、「人間の安全保障」の概念がどう認識されているのか、また、特に看護教育において、この概念もしくは類似の考えが導入されているかを現地調査した。 わが国では、すでに150を超える看護大学が林立し、その多くが国際保健/看護を扱っているが、国内的にも国際的にも、「人間の安全保障」の概念が取り入れら得ているとは云い難い。近隣諸国の看護職は、なお、その社会的地位の確立がなされていない上、教育においても、技術的に終始していることが多く、理念、ことに「人間の安全保障」の概念すら明確に理解されていない実態がある。
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