[研究目的]:慢性呼吸不全患者の生活動作と労作性呼吸困難の関連性、筋力の低下をきたさない継続可能な運動方法について分析、検討する。 1.運動継続に関する介入:医療施設外来に通院する慢性呼吸不全患者で、許可の得られた患者の自宅を訪問。居住宅内の階段昇降の頻度、上り方、降り方、その際の呼吸状態(パルスオキシメータで酸素飽和度確認)、室内での仕事内容、自宅外で作業する場合、作業場所での労作内容、その際の呼吸状態、呼吸困難回避のための行動などを観察した。その中で、運動要素となるものを抽出、日常で実施頻度などを質問し、運動継続要素のデータとした。自宅訪問不許可であった患者の場合は、外来通院途中の、傾斜のある道路の上り方、歩行時に出現する呼吸困難と休息のとり方、歩行時の酸素飽和度と心拍、さらにライフコーダで1週間程度の日常生活での活動状態を観察した。 2.運動効果と運動継続、日常生活活動の評価: 1)日常生活で、社会活動に参加、自宅外で作業機会を持つ、歩行時に出現する呼吸困難に不安を抱かない、家族数が少ないまたは家族も高齢という患者では、日常生活活動は高く維持されていた。1週間のうち3・4日は外出での活動が行われていた。 2)呼吸困難度も低く、病状の重症度も軽度である患者では、歩行時や外来受診時に家族が支える、本人の活動も必要以上に緩慢化するなど、自制する行動があり、これら患者では活動・運動の廃用性障害をきたしやすいことが示唆された。 患者は高齢化傾向であり、介護認定の希望者も増加しつつある。在宅にこもる傾向もうかがえ、運動と他との交流機会を提供できる機能をコミュニティと病院の連携で提供できるシステムが必要と思われる。
|