研究課題/領域番号 |
17401003
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
境田 清隆 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 教授 (10133927)
|
研究分担者 |
小金沢 孝昭 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (70153517)
平吹 喜彦 東北学院大学, 教養学部, 教授 (50143045)
西城 潔 宮城教育大学, 教育学部, 助教授 (00241513)
大月 義徳 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00272013)
関根 良平 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 助手 (90333781)
|
キーワード | 砂漠化 / 内モンゴル自治区 / 気候変動 / 水収支 / 土壌侵蝕 / 退耕還林 / 業種転換 / 国際研究者交流 |
研究概要 |
本年度は1年目であったが、ほぼ交付申請書の研究実施計画に沿う形で研究が実施できた。6月には境田が研究補助者を伴って武川県と四子王旗に気象観測装置を設置、小金沢と関根は四子王旗の牧民を相手に聴取調査を実施した。8月には気象観測値の回収に成功し、西城と大月は侵蝕調査の傍ら土壌水分計を設置した。また現地共同研究者の協力を得てモンゴル国の砂漠化シンポジウムに参加し、内モンゴルとモンゴル国の研究交流に加わることができた。また9月の日本地理学会秋季大会では小金沢が草地劣化と退耕還林政策に関する発表を行い、境田は12月に国立民族学博物館で開催された研究会で砂漠化に対する気候学的アプローチに関する発表を行った。2月には内モンゴルから共同研究者2名を招聘し、東北地理学会の研究集会「持続可能な草原利用の課題」を開催、日本側から関根と境田が成果を発表した。 本年度の成果を纏めると、近年の砂漠化(荒漠化)に対する気候学的要因として、降水量の変動以外に気温上昇の影響、すなわち蒸発散量の増加や地中水分量の低下が示唆された。今後は地温や土壌水分量のデータを収集し、水収支の観点からの解析が重要になってこよう。土壌侵蝕や風蝕については数十年スケールの地形学的調査も重要であるが、年々変動も重要であり、その点で現地の気象観測データの活用が期待できる。人文地理学的調査からは、退耕還林政策や禁牧という環境政策に対する農民・牧民のしたたかな対応の実態が見えてきた。その中にはカシミヤや乳製品、さらに観光業といった付加価値の高い業種への転換が見られ、砂漠化(荒漠化)への新たなインパクトとして注目される。またこういった人為的影響の異なるモンゴル国や西部の乾燥地域との比較も重要な視点である。
|