本研究は、清華大学(台湾)など台湾の大学の協力を得てフィールド調査を実施し、音声データを収集・分析の上、台湾の標準中国語声調の音韻・音響学的メカニズムを実証的・定量的に追求する国際的プロジェクトである。具体的には、台湾の標準中国語の声調発音において、(1)第三声に見られる台湾独特の声調上の「ゆらぎ」(他声調への変化)に関する通時的規則性・普遍性を探り、さらに(2)特に第三声と第四声に現れる台湾独特の音響学的・音韻学的特質を解明し、四声の相対的体系化を図る、という2点を目的とするが、究極的には、標準中国語には地域的差異がないとする論理的前提に一石を投じ、その内に実存する多様性に光を当てることを目標とした。 研究の最終年度に当たる平成19年度には、採集した膨大な量のデータの整理そして分析処理にかけるという作業に精力的に当たり、上記2点において解明および検証を行った。具体的には東北大学の大学院生を研究補助者として雇用しデータ整理を進め、データ整理ができ次第中国天津の南開大学石峰教授の研究室に持参して海外共同研究者サンダーズ博士とともにデータの分析処理を行うなど、データの分析研究を進めた。かつ収集し整理した貴重な多量の音声データをデータCD化した。 研究の成果は、共同研究者のサンダーズ博士が2008年米国行われる北米漢語言語学研究会議で基調講演発表するなど、国際的な関連学会・研究会で発表する予定になっている。
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