研究課題/領域番号 |
17401013
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
新谷 忠彦 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (90114800)
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研究分担者 |
ダニエルス クリスチャン 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (30234553)
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キーワード | パラウン / シャン(タイ)文化圏 / 言語文化接触 / 有声音の無声音化 / 入破音化 / シャン語文献 |
研究概要 |
本研究計画初年度に当たる最初の調査は17年9月に新谷、ダニエルスの他、研究協力者のインインメイ(東京外国語大学院生)の3人でタイランド北部のチェンマイ、チェンラーイ、メーホーンソーンの3県に於いて、新谷とインインメイは言語調査、ダニエルスは伝統民族文化の調査を行った。調査対象はパラウン族の他、周辺民族も含めて幅広く網羅的に行った。この調査により、タイランドのパラウン語はパラウン系方言の中でも有声音の無声音化や口蓋音の入破音化など極めて特異な音韻変化を起こしていること、シャン(タイ)文化圏としてのシャン系タイ語のリンガフランカとしての重要な役割が確認された。2回目は18年1月に新谷が緬甸に於いてパラウン系民族の分布地を回り、実状把握に努めた。3回目は18年1月から2月にかけて研究協力者の山田敦士(北海道大学院生)が雲南省に於いて北方モンクメール系言語の網羅的な調査を行った。この調査によって、北から南にかけての音韻変化の大雑把な流れが明らかになると共に、シャン(タイ)系民族との長期にわたる深い言語文化接触関係が確認され、シャン(タイ)文化圏と云う視点の重要性がはっきりした。4回目は18年2月から3月にかけてチェントゥン及びタイランド北部に於いて、新谷は言語調査、ダニエルスは伝統文化の調査を中心としつつ、更には二人が協力してシャン(タイ)系言語の文献調査を行った。この調査によって、これまで殆どデータのなかったモンクメール系言語の発見、伝統的な製麺技術や製陶技術の観察など、極めて貴重なデータが得られた。また、この一帯はシャン(タイ)系言語が完全にリンガフランカとしての役割を果たしており、シャン(タイ)文化圏と云う視点の重要性が益々はっきりとした。
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