研究概要 |
本研究は18世紀から19世紀半ばの時期に焦点を絞り、ロシア側史料を調査、収集、評価、翻訳、刊行する。それらを日本側史料と付き合わせ批判・検討することにより、日露関係史、日本史の新たな歴史像を構築するために次の研究をおこなった。 1. すでに史料集としてシリーズ『ロシア史料にみる18〜19世紀の日露関係』の第一集(19世紀初頭)、同第二集(18世紀後半)を刊行しているが、本年度は時代を18世紀前半、ピョートル大帝が東方探検を指示した時期の史料に焦点を絞って翻訳を進め、第三集を2007年度末に刊行した。本史料集は、1701年から1762年までの史料54点を収録した。その中では、これまでに発見された日本人漂流民のもっとも古い記録、コサック隊がカムチャツカを足場に千島列島を南下してくる過程の報告書、ロシアの版図を一挙に拡大させたベーリング探検隊の準備過程からの記録、その分隊として組織されたシパンベルグの日本探検隊の記録などが特に重要な史料である。 2. 新たな史料として、ロシア科学アカデミー史料館・サンクトペテルブルグ支部、ロシア国立古文書史料館等に所蔵されている史料の収集をロシア人研究者に依頼した。 3. ボルホヴィティノフ編纂の『露米会社史』(全3巻)のうち、19世紀初頭の日露交流史にとくにかかわる三章を翻訳した。 4, 平川新はこの共同研究に関して以下の論題で発表した。「環太平洋の近世史-東アジア史の枠組みを超えて-」(2007年7月14日『近世史サマーセミナー』)、「帝国としての近世日本」(2008年1月16日『アジア社会研究会シンポジウム』)
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