研究課題/領域番号 |
17401021
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
八尾 隆生 広島大学, 大学院文学研究科, 助教授 (50212270)
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研究分担者 |
桜井 由躬雄 東京大学, 大学院社会人文系研究科, 教授 (80115849)
桃木 至郎 大阪大学, 大学院文学研究科, 教授 (40182183)
嶋尾 稔 慶應義塾大学, 言語文化研究所, 助教授 (90255589)
松尾 信之 名古屋商科大学, 総合経営学部, 助教授 (40308838)
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キーワード | 紅河デルタ / 家譜(族譜) / 社誌 / ハナム省 / ナムディン省 / 洪徳堤 / カトリック |
研究概要 |
今年度は紅河下流のハナム・ナムディン両省に属する5つの県で現地調査、史料調査を行い、補足的にハノイの国家公文書館、漢喃研究院等で両省開拓史関連史料収集を行った。 まず調査隊を二つに分け、A隊はハナム省とナムディン省の北部諸県、B隊はナムディン省の海岸線に位置するギアフン県を調査地とした。 A隊:ハナム省リーニャン県では11-13世紀の李朝の離宮遺跡の残るラムカウ村で李朝期の開拓史料を収集し、碑文などの撮影を行った。ビンルク県では3つの村を訪問し、陳朝期(13-14世紀)王族の「田庄」、黎朝初期(15世紀)の「屯田所」、功臣の開設した「庄塞」関連の文書史料及び碑文史料を収集する一方、戦争捕虜を労働力として使役したという口伝に関し、ヒアリング調査を行った。ミーロク県では陳朝の本拠地での王族に関する史料収集を行い、イイエン県ではやはり陳朝王族の「田庄」「采邑」の存在した村を複数回って同様の史料収集を行った。 B隊:15世紀の沿海地帯開拓史で有名な「洪徳堤」の調査を行うべく、いままでほとんど研究や調査のなされていないギアフン県(すぐ西は昨年度調査したニンビン省イエンカイン県、東は多くの研究のあるナムディン省ハイハウ県)を海側から北上する形で数村の調査を行った。ところが開拓の歴史がかなり新しい上に、カトリックの影響で、伝統的な遺跡や史料(家譜や社誌等)がほとんど破壊されて残っておらず、満足な調査結果は得られなかった。 村での調査終了後、ナムディン省遺跡管理事務所及び省博物館で特別に所蔵史料の閲覧、デジカメ撮影を許可され、既に現地では残っていない社誌、19世紀に書かれたと思われる地誌、土地の開拓神に国家が給付した勅封など20点以上を収集できた。来年度のタイピン省調査ではこれを教訓として、まず現地の博物館、史料館などで史料の残存状況を確認した上で調査村を選ぶこととし、ハノイ大の同意を得た。
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