研究課題/領域番号 |
17401031
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
池谷 和信 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 教授 (10211723)
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研究分担者 |
野中 健一 総合地球環境学研究所, 研究部, 助教授 (20241284)
佐藤 廉也 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 助教授 (20293938)
飯田 卓 国立民族学博物館, 研究戦略センター, 助手 (30332191)
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キーワード | 自然資源 / 環境史 / 熱帯アフリカ / 資源利用 / 生活様式 / アンゴラ / 火入れ |
研究概要 |
本研究では、熱帯アフリカを対象にして自然資源の利用に関わる変遷を環境史の視点から明らかにすることを目的とする。狩猟、採集、漁労、牧畜、農耕などの生業活動を対象にして、各々の生業の資源利用のあり方とその変遷、及びそれを引き起こした要因を明らかにすることを目的とする。その主な対象地としては、熱帯アフリカにおける多様な自然環境の縮図であるアンゴラが選ばれた。 しかし、2005年5月時点、アンゴラではマールブルク病が流行していて、首都ルアンダおよび北部のカビンダやコンゴ州において多くの死者が出ていて現地調査が不可能であった。そこで、アンゴラでの現地調査を2007年以降に伸ばすことにした。まず2006年度は、8月にメキシコで開催された国際動物考古学会議に出席・研究報告することでアフリカの環境史的研究の最新動向を把握することができた。次に、熱帯アフリカにおける4地点、つまり(1)ボツワナの狩猟、(2)モザンビークの漁労、(3)南アフリカの昆虫採集とその利用、(4)エチオピアの農耕に対象をしぼって、各々の生業における資源利用のあり方とその変遷を明らかにした。その結果は、以下のとおりである。 (1)ボツワナ中央部の狩猟の歴史的変遷について、岩絵や聞き書き資料を使って復元した。その結果、岩絵に描かれる動物が限定されていること、過去と現在では動物ダンスの形が異なることなどが明らかになった。(2)モザンビーク北部に位置するカボ・デルガド州の2つの島において、漁獲実態調査をおこなうとともに、隣国タンザニアをも含む広範な交易網に関して聞き取り調査をおこなった。ふたつの異なるアプローチにより、この地域における漁撈活動が純粋な自然環境への適応ではなく、地域間交易によって蓄積された富を運用する機能をもっていたことが示唆された。(3)南部アフリカで重要視されているモパニガの幼虫(以下モパニワーム)の採集活動と流通について、南アフリカの消費地と生産地において現地調査を行い、流通生産システムと都市市場での販売状況を明らかにした。モパニワームの需要は高く、都市中心地でも盛んに販売されている。これらは南アフリカ産だけでは需要をまかないきれず、ボツワナ、ジンバブエから仲買によって運ばれ、東北部の拠点都市で取引されていることがわかった。(4)エチオピアの農村における人口史の復元をすることで、人口動態と農耕の変遷との対応関係が明らかにされた。 以上のように、2006年度は、各地のフィールドにおいて自然資源の利用の実態が明らかになったのであるが、様々な生業に関与する資源利用の変遷を十分に解明するまでにはいたっていない。
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