研究概要 |
本年度における研究実績の概要は以下のとおりである。 1,宮武公夫(研究代表者)中国における最初の国際博覧会である1910年の南京勧業会、および、1929年に杭州で開催された西湖博覧会に関する調査協力を依頼するために、研究協力者である香港中文大学のSidney Cheung準教授とともに南京大学・社会学部のFan Ke教授を訪問し、研究協力と資料調査に関する打ち合わせを行った。中国関係の博覧会資料調査はFan教授の協力を得て継続中である。また、1910年の日英博覧会のアイヌ展示に関する資料調査と、20世紀初頭のロンドンにおける見世物や興業に関する資料調査をロンドン大学、大英博物館、大英図書館などで行った。また国内では、1904年のセントルイス博覧会参加者の遺族に対する聞き取り調査を行うとともに、多くの未発表資料や写真を発見した。現在これらの資料整理とデータベース化を進行中である。H19年度にはアイヌの側から見た博覧会研究として、アイヌの関係者とともに共同調査を行う予定である。これらの成果の一部については、大阪大学COEプログラム「インターフェイスの人文学」において講演を行った。また理論面では、科学技術論としてヒトとモノの関わり、時間と空間の関係についての論文発表をおこなった。 2,桑山敬巳 アジアの博覧会における展示問題を、さまざまな言語や媒体をとおして自己表象する際の関係性の問題としてとらえる視点から、国内における資料調査と現代における博物館提示やミュージアムショップの調査を行った。 3,権錫永 韓国・朝鮮における初期の博覧会として、1915年の朝鮮物産共進会や1929年の始政20周年記念朝鮮博覧会に関する資料調査を韓国において行った。また、近年韓国において進められている博覧会研究に関する論文・資料の収集と、そのデータベース化を進行中であるが、来年度中に完成の予定である。 これらの研究実績のほか、現在散逸している明治・大正期の博覧会に関する新聞記事をデータベース化する作業を行っているが、H19年度には完成する予定である。
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