研究課題/領域番号 |
17401035
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
文化人類学・民俗学
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
落合 一泰 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (50212337)
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研究分担者 |
鈴木 紀 国立民族学博物館, 先端人類科学研究部, 准教授 (40282438)
青木 利夫 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 准教授 (40304365)
関 啓子 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (20107155)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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キーワード | メキシコ / 独立記念日 / 国家的記念行事 / 首都と地方 / ナショナリズム / 地方主義 / 非西洋圏における近代国家形成 / 学校教育と人間形成 |
研究概要 |
本研究計画は以下の4点を目的とした。(1)グローバル時代の地域研究を目指す。(2)メキシコ最重要の政治的社会的な年間行事、独立記念日を多面的に研究する。(3)独立をめぐりに浮上する首都と地方の関係性に着目する。(4)メキシコと他国の独立記念日を比較研究する。 3年間の現地調査の結果、本研究計画は以下の知見を得た。(1)メキシコ西部の主要都市グアダラハラでは、独立記念日が地域的利益と国家政治の交渉の場であり続けてきた。1910年、独立百年祭の盛大な挙行の見返りとして、グアダラハラは公共建築や学校教育の補助金を政府から得ている。(2)メキシコ東南部ユカタン州では、独立記念日はユカタンを筆頭とする各地方の集合体としてのメキシコを想起する機会になっている。(3)メキシコの独立記念日では、スペインからの独立を軍事的に勝ち取った点が前面に出るのに対し、ソ連崩壊の結果として独立国家形成を遂げたキルギスタンでは教育的側面に力点が置かれる。(4)20世紀初頭にメキシコと日本で出版された国内総覧的写真集の比較。版図全般を帝国主義的に眼下においた日本に対し、均質な国民国家形成達成が遅れていた独立百年当時のメキシコでは、首都とその周辺地域の経済発展風景のみを見せて近代化達成を主張していた。 調査地への研究成果還元のため、本研究計画の成果は2007年11月6日にメキシコ大学院大学(メキシコシティ)で開催されたワークショップ「イメージ、教育、国家-メキシコ独立記念日をめぐる日本・メキシコ間の対話」においてスペイン語で発表された。独立記念日をメキシコ側は国内的テーマと捉えていたが、発表と討議を通じ、それが首都と地方の関係性、国際的比較など広い視点に基づく新たな共同研究テーマになりうるとの、これまでにない理解を両国の研究者が共有した。本ワークショップの成果は2008年中にメキシコ大学院大学より刊行の予定である。
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