研究概要 |
当初の予定通り,7月18日から8月30日までペルーに滞在し,リマ市のポンティフィシア,カトリカ大学で軍事政権の資料を調査した。軍事政権の閣議録下書きは予定通り本体部分の調査を完了し,閣議付属資料の一部を調査した。ペルー滞在中には,ポンティフィシア,カトリカ大学文学部教授でペルー現代史を担当するイバン,イノホサ氏等と意見交換を行なった。また同じくペルー滞在中に主要な書店や国際ブックフェアを回り,ペルー軍政関係およびペルーの政治一般に関する文献を購入した。 ペルーでの作業は順調に進行したが,日本における資料の整理と分析は今年も当初予定していたほど進まなかった。 今年度に調査した資料の中では,トゥパックアマル計画(軍事政権第二期(1975〜1980年)の統治綱領)のオリジナル版が興味深かった。すでに筆者による過去の研究で,当初バルデス将軍が中心になって作成したバージョンがかなり急進的であり,後に軍事政権が保守化してから公表されたバージョンと大きく異なっていたことが知られていた。今回調査できたのは,バルデス将軍が作成したトゥパックアマル計画のオリジナル版と,その作成の過程で各省庁が提出したセクター別の資料(インカ計画(第一期統治綱領)の実施状況,今後の目標など)である。これにより,トゥパックアマル計画の当初の内容を正確に把握することが可能になった。
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