研究課題
インドネシアでは1998年のスハルト体制崩壊以降、民主化と地方自治の進展によって、政治経済構造の地殻変動がおこっている。本研究はこうした地殻変動の実態を、特に地方政治に焦点を合わせて分析することを目的とする。具体的にいえば、まず全体的な地方エリートの特徴をつかみ出すために地方議員の社会学的プロフィールを作成する。その一方で幾つかの地方自治体をとりあげて、地方首長選挙、地方政治経済構造を分析する。地方議員の社会学的プロフィールの作成は、昨年度に終了した基盤研究B(1)「インドネシアの民主化における地方政治の変容」(代表:水野廣祐)(以下、「地方政治」科研)の成果を発展させるものである。「地方政治」科研が主に1999年総選挙で選出された地方議員に関するデータ収集を行ったので、本科研では2004年総選挙で選出された地方議員データを収集している。これまでに73県9市の地方議会のデータ収集を行い、合計3133名のデータ収集を行った。教育水準をみると大卒41.2%、高卒34.8%、年齢層では35歳(1969年生まれ)〜44歳(1960年生まれ)が42.8%と圧倒的に多く、45歳〜54歳(19.5%)、25歳〜34歳(18.1%)、55歳〜64歳(14.8%)と続く。他にも所属政党はもちろん、宗教、職歴など、さまざまなデータを集めたが整理中の段階である。具体的な地方政治については、2004年から2005年にかけてインドネシアで始めて行われた地方首長直接選挙を分析する一方で、幾つかの自治体について事例研究も行った。全体としては、金権政治の地方への拡散は著しく、自治体主導の公共事業では首長や地方議員のクローニーへのばらまきも顕著である。そして、地方首長直接選挙が導入されたことでこうした傾向は一層助長されているのみならず、地方によっては暴力の行使、メディアの統制など反民主的な動きも目立つようになった。その一方で住民受けする必要性のためにポピュリズム的政策が自治体で目立ち始めてもいる。
すべて 2005
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評空間(ウェブマガジン)