地方自治への市民参加のための機関である地方開発評議会の実態を把握し、市民参加の実質を明らかにしようとした。評議会を設置運営している地方政府の数は未だに少数であるが、その1つのケソン市では、評議会の構成や仕組みについては市民組織の意向がかなり反映されたものの、評議会の最終目標である開発計画・投資計画の策定には至らなかった。その要因としては、第1に、評議会委員の間に評議会の機能や審議プロセスについての共通理解が形成されなかったこと、第2に、委員間に十分な信頼関係が構築されなかったこと、第3に、NGOの間で評議会に取り組む姿勢に温度差があったことが明らかになった。
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