平成17年度(平成18年3月末まで)に、マレーシア、インドネシア、フィリピンにおけるイスラム教育機関についての実態調査を行い、以下の各国地域におけるイスラム教育機関を調査した。 1.マレーシア:ケダ州、クランタン州、トゥレンガヌ州(マレーシアのチームはタイ南部への調査を開始した)。 2.インドネシア:南スラウェシ州、中部ジャワ州、西ヌサトゥンガラ州、西スマトラ州、アチェ州、南カリマンタン州、バリ州。 3.フィリピン:マギンダナオ州、スルー諸島、ザンボアンガ市、バギオ市、パガシナン市。 本年度はデータ収集が調査目的であり、その方針は平成17年7月に研究チーム(代表研究者、分担者、外国の研究協力者であるジャムハリ国立インドネシア大学イスラム社会研究所所長、カマルニザム・アブドゥーラ・マレーシア国立大国際研究科長、ジュルキフリ・ワディ・フィリピン大学イスラム研究所研究員)で確認され、さらに11月における第一回会合(インドネシア)で調査にあたる重点項目が議論、決定された。 各地域の調査を通じ共通した特徴は、イスラム教育機関の非公式性と地域における多様性である。東南アジアにタイするイスラム伝来のプロセスを再考し、イスラム教育機関の設置から運営にいたるプロセスは、国民国家の形成という公式なプロセスからいくらかはずれた性格があるようである。 平成18年度にはさらに詳細な調査を実施し、教育内容と教育機関の社会的な役割にまで踏み込んだシステマチックな研究成果を出す。4月には平成17年度の成果を議論するために東京においてワークショップを実施する予定である。
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