研究課題/領域番号 |
17402013
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
六鹿 茂夫 静岡県立大学, 国際関係学研究科, 教授 (10248817)
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研究分担者 |
渡邊 啓貴 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (80150100)
小久保 康之 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (60221959)
廣瀬 陽子 東京外国語大学, 地域文化研究科, 講師 (30348841)
佐藤 真千子 静岡県立大学, 国際関係学研究科, 助手 (40315859)
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キーワード | ENP / WNIS / 南コーカサス / アクション・プラン / 民主主義 |
研究概要 |
研究を体系的・総合的に進めるため7月末に研究会を開催し、六鹿が基調報告を行い、そこで得られた合意に則って、各研究分担者は以下のような現地調査を実施した。 六鹿はブリュッセルにおいて、EUおよびNATO拡大後の対黒海政策について、各方面で聞き取り調査を行った。小久保は、バルト3国のEU加盟後の状況並びにロシアやWNISに隣接するこれら諸国のENP(欧州近隣諸国政策)に対する姿勢について現地調査を実施した。渡邊は、リヨンやパリで、欧州憲法条約批准拒否の理由、およびそれがEU拡大に及ぼす影響について、専門家と意見交換を行った。廣瀬は、ブリュッセルでEUの対コーカサス政策について聴聞調査を行うとともに、コーカサス諸国がENPをどう評価しているのかについて現地調査を行った。佐藤は、アメリカの民主化支援やNGOの役割に関する新しい研究動向について情報収集を行った。また、六鹿および廣瀬が、研究成果の一部を、2005年11月に東京で開催された国際会議「日本-黒海対話」(日本国際フォーラム主催)にて、報告者およびコメンテーターとして発表した。 研究成果としては、以下が明らかになった。第一に、EUおよびNATOの同地域への積極性が顕著になってきたこと。例えば、NATOはウクライナに対してはID(強化された対話)を、その他諸国にはIPAP(個別パートナーシップ行動計画)を導入した。第二に、同じENP政策でも、WNISと南バルカンでは異なり、EUは前者にはより積極的に関わり、後者にはロシアへの配慮からより慎重な態度をとっていること。第三に、ロシアの対EU・アメリカ政策に微妙な変化が現れたこと。EU-ロシア間で「4つの空間」に関するロードマップが締結されたことで、ロシアはそれまで頑なに拒否してきた「近い外国」との関係について、欧米諸国との議論に応じるようになった。
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