研究課題/領域番号 |
17402013
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
六鹿 茂夫 静岡県立大学, 国際関係学研究科, 教授 (10248817)
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研究分担者 |
渡邊 啓貴 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (80150100)
小久保 康之 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (60221959)
廣瀬 陽子 東京外国語大学, 地域文化研究科, 講師 (30348841)
佐藤 真千子 静岡県立大学, 国際関係学研究科, 助手 (40315859)
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キーワード | ENP / 黒海地域 / エネルギー / 凍結された紛争 / 民主化 |
研究概要 |
2年目の研究総括として2008年2月に実施した研究会では、研究全体の進捗状況を全員で把握することに努め、各自が得た情報の共有を図り今後の研究の方向性や課題を議論した。内容は以下の通りである。 六鹿はブリュッセルにおいて、特にロシア、トルコ、ウクライナのEU拡大およびNATO拡大をめぐる思惑と対黒海政策に関する調査を行った。小久保はトルコにおいてEU加盟交渉の状況や黒海の安全に対する双方の認識、ENPへの影響などについての情報収集を実施した。渡邊はフランス国際問題研究所等で、欧州安全保障・防衛政策(ESDP)と人間の安全保障に関する危機管理に焦点をあて、それらのEU拡大への影響などについて専門家らと意見交換を行った。廣瀬はブリュッセルのEU委員会の担当官らを中心にEUの対コーカサス政策とENPの状況に関するインタビュー調査を行った。佐藤はアメリカにおいてポーランド・ウクライナ・アメリカの3力国による民主化支援の協力・強化のネットワークに関する調査を行った。 これらの研究成果として、代表六鹿が「黒海地域の安全保障」『国際安全保障』(2006年12月)で提示した論点は今後の展開を理解する上で重要である。新加盟国を迎え入れたEUがENPを通じてWNISや南コーカサス諸国の民主化や市場経済化を推進する過程から、EU・NATO・アメリカが取り組み始めた黒海地域の安全保障環境について、(1)WNISおよび南コーカサス地域のNATOないしEUへの加盟、(2)ロシア勢力圏への残存、(3)双方との関係を維持するグレーゾーンという3つの選択肢が浮き彫りとなってきた。 以上のような研究により、今後は中・東欧諸国のEU加盟問題が黒海政策に及ぼす影響、大西洋同盟の変化と黒海政策への影響、黒海地域の問題をめぐるEU内部の調整メカニズムの解明、黒海沿岸諸国への民主化支援を通じた関係諸国間の関係強化などについての調査を継続する。
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