研究課題
1.今回の調査(2年目)によって、アフガニスタン・イラクにおける安定化・平和構築をめぐって、米国(及び国際社会)は一層深刻な課題に直面している現状が明らかになった。アフガニスタンにおいては、南部における反乱の再発、イラクにおいては反乱の悪化が見られ、米国の安定化政策の根本的な転換が余儀なくされた。双方の活動の終了点は未だにまったく見えないが、現状までの安定化活動の評価を行った。両国での安定化を巡る米国の政策・制度の現在までの変遷を辿り、問題点の評価及び理論化を行った。2.具体的な調査活動としては、米国・英国への研究旅行(06年9月)、安定化活動分野での国内外の専門家との交流(二名より関連資料(論文)を提出いただいた)、文献収集(インターネット資料を含む)などを実施し、その後は研究で得られた資料を基に分析、理論化、執筆活動(まとめ)を行った。3.調査の実績(1)近年の米国による安定化活動の評価を行い、中心的な問題点を戦闘から安定化への移行の失敗と位置付け、その原因について政策と制度の観点から考察した。特に、省庁横断プロセスと国防総省主導の安定化活動の実態と問題について検討し、民軍の活動の統合と戦略、活動、実施レベルの一貫性を問題化した。(2)イラク・アフガニスタン現地での経験を踏まえて現在まで行われた安定化活動の改革努力を政策レベル・現場レベル双方で概観し、課題を検討した。(3)安定化活動の効果的な実施の条件について理論化を試みると同時に、政策提言を試みた。双方の例において、明確な戦略的視野に基づいた民軍共同の活動計画、実施、評価、訓練のプロセスの設置が望まれると結論付けた。
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すべて 雑誌論文 (2件)
Policy Perspectives(# 3), Research Institute for Peace and Security No.3
ページ: 18
国際安全保障 第34巻第1号
ページ: 63-78