今年度は、2006年2月-3月にかけてザンビアと南アフリカを訪問した。東京においては外務省アフリカ二課及びJICAアフリカ部、在京大、現地においては在ザンビア大、在南アフリカ大よりの全面的な協力を得て、調査を遂行した。ザンビアにおいてはソコUNDPガバナンス・アドバイザー、フンダンガ中央銀行総裁、ムワペ大統領府法律顧問、チンヤマ外務省アジア局長、ザンビア議会法制局長らと有意義な意見交換を行った。南アフリカにおいては、ガブリエル議会事務局長を含む議会関係者、クーンホッフ議員、マーティンスsafer Africa事務局長、ウイーラー南アフリカ国際問題研究所、ムランボ南アフリカアフリカ研究所研究員らと意見交換を行った。なお、出張最終日に、在南アフリカ日本国大使館において、伊藤臨時代理大使ら主要関係館員に対して、ガバナンスに関する報告会を行った。 今回の出張において、アフリカの大国、南アフリカにおいてすらも、議会が脆弱であり、行政府に対して監視機能を果たしていないことが改めて明らかになった。 固より、一党制の下では、議会は大統領、内閣の延長であり、政府、政党が決定した政策のハンコをつくだけの機関であった。当然の事ながら議会の独立性は無視され、憲法によって与えられた権限でさえも実行することはできなかった。現在、多くの国が民主化を成し遂げ、複数政党制が導入されているが、依然として大きな権限が大統領に与えられ、議会の力は弱い。議会の運営規則、規約には一党制の名残が多く残っており、民主化の制度化に少なからざる障害となっている。野党の少数の見解は往々にして無視され、民主主義の原則である権力の行使への監視が、野党によって実行する事が事実上不可能になっている。実質的に議会がその権限を行使できるか否かは、議会における議席の分配、政党・議員の能力、議会の運営規則によるところが大きい。
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