今年度は、2007年2月中旬にケニア、ルワンダ、エチオピアを訪問した。外務省アフリカニ課、在ケニア大及び在エチオピア大よりの全面的な協力を得て、調査を遂行した。ケニアにおいてはコンボ自治政府担当大臣、マサイ・アフリカ経済成長研究所長、ニョンゴ元計画担当大臣、チゲ経済企画局長、オンジルNEPAD事務局長らと議会能力向上の為の施策やケニアのガバナンス状況に関して有意義な意見交換を行った。ルワンダにおいては、セムフング議員(前駐日ルワンダ大使)、ルタレマラ・オンブスマン、ポリジ下院副議長、エンガランベFPR事務局長、下院議長らとルワンダにおける三権分立状況などに関する意見交換を行った。エチオピアにおいては、テショメ下院議長、サリー連邦院副議長、シタエ下院副議長、ブラ連邦院議長などとエチオピアにおけるガバナンス状況や政治状況に関する意見交換を行った。 ケニアやルワンダで一定のガバナンス進捗の成果が見られる。たとえば、ケニアでは、2003年に採択されたConstituency Development Fundにより、地方選出の議員の政策立案能力などが向上し、議員立法も増え、行政府に対して一定の監視機能を果たしている。しかし、依然としてTribalismに基づく政治が行われており、その長たる大統領は絶大な権力を有している。ルワンダでは、2003年の新憲法により、三権の長を政党派間でシェアすることが義務付けられ、制度上の三権分立が確立している。また、「政党フォーラム」の設置により主要政党及びシビル・ソサエティなどとの直接対話が可能となり、開かれた民主主義が定着し始めている。エチオピアでは、議会の力は依然として弱い。特に与党の力が圧倒的に強く、行政府と与党による窓意的な決定が多く散見される。議会自身もrule of conductを策定するなど、能力向上には積極的である。
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